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名古屋高等裁判所 昭和50年(ラ)91号 決定

抗告人 株式会社加藤冨商店

右代表者代表取締役 加藤正冨

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は、抗告人の負担とする。

理由

本件抗告の趣旨及び理由は、別紙即時抗告の申立と題する書面記載のとおりである。

抗告人が岐阜地方裁判所大垣支部昭和四七年(ワ)第八六号抵当権設定登記抹消登記手続請求事件(原告日本開発企業株式会社ほか一名、被告瀬戸信用金庫)につき、被告の補助参加人として訴訟に関与していること及び昭和五〇年七月四日右事件の担当裁判官につき忌避申立をしたことは、取寄にかかる事件記録により明らかである。

補助参加人が裁判官の忌避申立権を有するかについては、見解が分れるが、補助参加人も、自己に関する固有の事由、すなわち、自己と裁判官との間に存する裁判の公正を妨げる事情のあることを理由とするときは、主たる当事者が忌避権を喪失せず、かつその意思に反しないかぎり、忌避の申立をなし得ると解するを相当とする。しかるところ、本件において、抗告人が忌避理由として主張するところは、担当裁判官の審理が訴訟促進の趣旨にもとるとか、人証の採用をしないことが違法であるとするなど、訴訟指揮上の不満を理由とするもので、前示の如き、抗告人に関する固有の事由に該当しないから、これを理由として忌避申立をすることはできず、不適法なものといわなければならない。してみると、一般に単なる補助参加人は忌避申立権を有せずとし、申立を不適法として却下した原決定は、当裁判所の判断とその理由を異にするが、結論において正当であるから、結局本件抗告は理由がなく、棄却すべきものである。

よって、抗告費用の負担につき、民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 柏木賢吉 裁判官 夏目仲次 菅本宣太郎)

〈以下省略〉

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